アンガーマネージメントとうつ病(季節性うつ病)対策「辛い時、じぶんに優しさを一杯」

コロナ

らいふ@こりあのロゴマークをデザインした縁で、このほど記事を書く機会をいただきました、にのっちと申します。

20代から広告デザインの仕事をしていたのですが、統合失調症を働き盛りの30代に発症し、その後2011年に韓国語の勉強を始めて、介護の道へ。2016年の12月に韓国人男性との結婚を期に韓国に移住しています。子供はいない中年夫婦で80代の韓国人の姑と同居しています。

記事を書くにあたって、ご協力いただいた筑波大の松崎先生には本当に感謝いたします。先生は医療系YouTuberでもいらっしゃいますし、著書も多数あり、たぶん医療者への教育向け動画では先駆けだと私は思っているのですが、本当にわかりやすさで定評のある先生です。

今回のこの題目2つについてはすでにご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、リマインドにぜひご一読いただければ幸いです。

朝、香りで気分を整える

冬の寒いこの時期、温かい飲み物が美味しい季節です。

皆さんの朝の一杯はどんな飲み物ですか?

私は、温かいコーヒーを朝食後、ほとんど毎朝欠かさず飲みます。韓国では豆から淹れるコーヒーのことを원두커피=ウォンドゥコピといって、漢字で「原豆」と書き、インスタントと区別されています。

この「香り」を生活の中で気分をチューニングするのに良いということを聞き、朝にコップ一杯の水と、食後にお気に入りの焙煎のコーヒーを挽いて、ゆっくり飲むようになって、もう長く経ちます。そしていつからだったか、心を整えて、なるべく「瞑想」の時間になるように過ごすようになりました。するとだいぶ心が落ち着くようになりました。

この瞑想の時に大事なのは、何かに対して怒りやイライラを感じていたとしたら、それを一度、その手から放して、目の前に置いて、観察するイメージを持つようにすることです。つまりアンガーマネージメント(怒りのマネージメント)を意識することです。

怒りをマネージメントして、解決の糸口を探る

問題に対処するときに、物事に対して怒ることが発端になる時がありますが、怒りをそのままの怒りとしてぶつけると、それによって不都合が生じる時があり、衝突によって関係が壊れたりします。

私は住み慣れた日本を離れ、初めての外国である韓国に住んでみて、驚くほど怒る場面に直面しました。

例えば、ある時は宅配の段ボールを全開に開けられていたり、作りが悪く次第に開きにくく蹴らないと開かなくなった玄関のドア。たびたび窓口で名前を読み間違う職員の悪びれない態度など。その度に感じる不快感。それを対処するにはどうすれば良いのか?と思い、アンガーマネジメントをするようになりました。

  1. 怒りを一度手放し、目の前に置く(例、紙に書き出す。言葉にする)
  2. 不快のボトルネックが何か探す
  3. ②について客観的な視点に立ち、自分の思う「〇〇すべき」にこだわらず、違う立場からの理解の存在も認める
  4. あらためて言うべき言葉を探す

これによって、訴えだり諭しだったり、場合によっては許しをするために、心づくりを整えられるようになりました。それによって問題を解決する糸口を見つけることができ、ストレスが少し緩和される様になりました。

大事なのは、この瞑想で内観する時間に、少しでも良い方へと心を落ち着かせて、訪れる一日を受け入れるための心を作ることだと思います。それは嘘でどこかへ押し込めてしまうのでなく、きちんと向き合う態度を中心に据えることです。

コロナ禍の中、増えるうつ病や季節性うつ病

韓国国内のコロナワクチンの摂取率は80%以上を超えたものの、ブレイク感染が増え、新しい変異株のために混乱が生じています。ウイズコロナの状況下で全国での新規感染が7千人/日(確認時:12月中旬)を超えて更新される状況に、誰もが驚いています。

そのような中、ミセモンジ(微細塵、PM2.5)の被害は、空気の汚染に敏感な人だけでなく、影響を感じるため外出を断念する人もいます。

新型コロナの影響は、感染予防のための時差出勤、リモートワーク、営業時間の短縮で、経済活動も不安定になりました。それにより生活リズムの変動が問題視されています。長引く緊張に、医療体制側も稼働率は8割を超え、勤務する看護師の燃え尽き症候群による離職も深刻な問題として報じられています。

これらによって、病院に行くことをためらう方もいらっしゃると思います。ですが、心の不調が現れたなら、早い段階での受診をすることを強くお勧めします。行かないうちに症状がどんどん進行し、場合によっては慢性化し本格的なうつ病へと症状が進行する可能性もあります。

研究によると北国などの高緯度地域ほどうつ病の有病率が高いことが明らかになっています。(*1)ひとつには、日照時間の不足から、脳内の神経伝達物質のセロトニン(精神の安定、頭の回転をよくするなどの活動に必須)の分泌が低下して、脳の活動の低下から、次第にうつ病になる確率が高くなるためと言われています。

病院に行くのをためらう気持ちもわかります。ですが症状が悪化し、どうしようもなくなるよりも、早い段階で行ったほうが、より良いと思います。

●こんな症状が複数当てはまると注意が必要です!(抜粋、要約*2)

苦しんだうつの症状、家族の理解

私は、2019年の11月初冬の頃、夕方になると最初にゾクゾクとした背筋の悪寒がして、すぐに胸の辺りがザワザワし、不安が押し寄せてきては、パニックの症状が出ていました。苦しさのあまり頭の中で「生きるのはなんて面倒なんだ。全てが楽になって終わればいい」「早く死にたい」という思いが出始めました。だんだん「早く楽に死ねればいいのに」という考えだけが、ぐるぐると回り始めました。頭の片隅に「そんな風には到底できない自分がいる」という理性も、あるにはあるのですが、日中も頭の中に「早く死ぬためにはどうしたらいいか」という“希死念慮“が常に浮かんで手離せないーそんな生活を毎日のようにするようになり、明らかに抑うつ状態になっていました。

背景には、統合失調症を抱えての韓国生活に不安がありました。韓国では冬の寒い時期で、大体平均気温が10℃を下回ってくる11月中旬ごろに、大量のキムチを漬ける「キムジャン」、それに旧暦での元旦を祝う「ソルラル」=旧正月の行事があります。この2大イベントのために、家族と共に作る大量の料理作りが大変で、頭を悩ませる頭痛の種でした。でも完全に嫌いでは無いのですが、韓国人でもうつ病になったり「名節離婚」なんていう言葉もあるほどの状況下です。我が家の場合は、日本の法事にあたる祭祀までこの時期あり、そうなると緊張と疲労は重なり、多少なりとも影響を受けないわけはありませんでした。無理しないでと言われても、無理せざるを得ない状況に負荷を受けていたのだと思います。

うつ症状からの脱出は、身近なひとへ SOSの発信をすることからでした。病院でも、医師へSOSを伝えることもしました。

この希死念慮というやつは厄介で、踏みとどまるには、一人ではなかなか難しいと思いました。周りの家族、友人、職場の同僚、上司の支え、理解、そして良い判断が必要です。その時は言葉に出した時に、しっかり受けとめてもらうのが大事だと思いました。

自分の心と身体が決して弱い訳ではなく、これは脳の中で起きていることだ、と受け止めて、それをなるべく口で自分に言ってあげること。それだけでなく置かれた環境や人間関係からくるストレスが原因が多いので、そこからの回避と解決を試みました。

私のSOSを聞いた夫は、具体的に行動してくれて、いつもは仕事に行っていたキムジャンと名節の準備の日に、会社を休んで一緒に手伝ってくれました。夫は日本語ができ、姑と私のミスコミニュケーションを補ってくれました。それによってその場のさまざまな問題が解決しました。労いの言葉をかけてくれたし、安心できて、姑と二人きりで作業していた時よりも、明らかに状態が好転しました。

そして、私は自分を肯定することも試みていました。これは「アファメーション」と呼ばれ、両腕で自分を抱きしめ「〇〇は頑張ってる!えらい!」「〇〇ならできるよ!」などの自分に励ます肯定的断言をかけることで、自己肯定感を高めるようにしていました。

うつ病の悪い考えにループしたとき、そのループを断ち切るために、自分の魂という港に心という小舟が錨を下ろして、向かってくる大波を乗りかわして行くようにイメージしました。希死念慮から逃れるためには「人生をご破算にしたい」という襲ってくる大波の考えを、少しでも方向転換して、良い潮目へと舵を切ろうと試み、しっかりと命綱を握ることが必要だと思いました。心が揺れるからどうしても、船酔いしてしまうと思います。薬はその時に、酔い止めを飲むことに似ていると感じました。

病院を受診して、私たちの身体の中、特に脳で起きている、化学的な営みの中で、足りないものは足して、または過剰なものそれらを薬で調整できれば、少しづつでも辛い局面をしのいで、良い方向へと逃れる助けになります。ですから、医師の診察を受けて薬を処方してもらうことが、まず第一に大切だと感じました。

季節性うつ病対策に良い習慣をとり入れる

上に紹介した方法も含まれますが、以下の5つのような方法を取り入れています。

①カーテンを開けて太陽の光を浴びること

朝に太陽の光を浴びることは、日中のメラトニンを抑制し、抑えた分のメラトニンが夕方に高まることで夜の睡眠を促し、睡眠ー覚醒のリズムを整えることができます。

②一杯のお気に入りの飲み物を飲むとき、瞑想の時間を持つ

このとき、うつ病にかからないようになんて願わなくてもいいんです。

ただ、ちょっと不調だなという時におすすめなのが、爽やかな香りの良いゆず茶やホットの蜂蜜レモンなどの柑橘系の飲み物です。ゆず茶はご存知の方も多い、韓国の伝統茶です。爽やかな香りは、気持ちを上向きにしてくれます。

ですが、日によっては落ち込んだときに、騒ぎ立てるような香りが苦手な時もあると思います。その時は穏やかな気分になれるカモミールなどのハーブ類の飲み物や、白湯も良いと思います。

③緑を身近に感じること

研究により、ストレスへの抵抗性が強い人ほど森林浴をしていたとする報告もあります。身近に森林や並木道が無く、歩くのが難しいなら、常緑樹の鉢や花を一輪飾って眺めることを私はお薦めします。花屋で交わす会話も気分転換になると思います。

④運動する

運動すると、うつ病や認知症が改善する効果がある程度実証されています。今は、外になかなか出られない中なので、室内でできるヨガなどがお薦めです。ヨガはいわゆるストレスホルモンであるコルチゾールを抑えることで、憂うつな気分を減らすことが期待できます。

⑤美味しく食べる

研究では、季節性うつ病の患者で、多く見られる炭水化物飢餓は、脳内セロトニンの低下を補償しようとする生理反応で、摂取することでセロトニンの基質となるトリプトファンの脳内移行率が増大することが明らかになっています。(*3)

炭水化物を摂取することで得られる、気持ちの安定には脳のしくみがあるのです。でも食べ過ぎには注意した方がいいですね。

コミニュケーションは、時にキャッチボールに例えられますが、素手でボールをキャッチすると、怪我をすることがあるように、知識がグローブやフォームのように怪我をしにくくする役割になり、コミニュケーションがうまくいくと、ストレスは少なくなり、ダメージが格段に違います。

そのために、アンガーマネージメントやアファメーションを使い、自分を大事にして準備すること、そして住んでいる韓国の背景知識などを知ることが必要だと思いました。その時に「らいふ@こりあ」の記事を読んでみてもらえたらと思います。

ここにあげたことが完璧だとは思いませんし、実践されている方もいらっしゃると思いますが、少しでもお役に立ち、皆様が自分の心と共に優しい時間を過ごして、生活のストレスから解放されますようにと願っています。

*1-3. 三島和夫.季節性うつ病. 最新医学. 71巻7月増刊号. 最新医学社. 2016年.p96-106.P-ISSN: 0370-8241

記事ライティングと監修者紹介


記事ライティングとイラスト:にのっち

鹿児島県出身。 九州デザイナー学院卒。20代に在籍した鹿児島ゼロックス(※)の社員旅行で韓国を初訪問。2005年統合失調症を発病しデザイン業から2013年介護職へ転身。2011年にSHINeeが日本デビューしファンになったことがきっかけで、韓国語を独学から始後める。韓国人教師の紹介で知り合った男性と2016年12月に結婚を機に韓国移住。

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※ 現在:富士フィルムビジネスイノベーションジャパン(株)鹿児島支社


監修:松崎朝樹

精神科医。筑波大学を卒業し、精神科病院を主とした複数の医療機関で臨床にあたり、現在は筑波大学医学医療系講師。『気分障害ハンドブック』『精神診療プラチナマニュアル』(メディカル・サイエンス・インターナショナル)など、医療者対象の翻訳本や著書が多数あり、YouTubeチャンネル「精神科医 松崎朝樹の精神医学」を持つ。

https://www.youtube.com/c/精神科医松崎朝樹の精神医学/about

精神科医 松崎朝樹の精神医学
精神医学について、精神科医として精神医学のWeb講義をしています。実臨床から、医学生や看護学生などの医療系学生向けまで。精神科専門医向けの内容も。オンライン講義や課題の資料など、医学教育への動画の使用OKです。チャンネルにある「再生リスト」を使用するとまとめて体系的に学べます。 著書『統合失調症のみかた,治療のすすめ...


ライター(にのっち)

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