日本と韓国の文化をルーツに持つ子どもの進路/離島留学(日本)という選択肢

教育

日本と韓国の文化、両方をルーツに持つお子さんがいらっしゃる方でしたら、進路について悩まずにはいられないですよね。

お子さんが小さい頃からすでに悩みは始まっているといっても過言ではありません。

  • アイデンティティや国籍を日本人とするのか、韓国人とするのか。
  • 生活の拠点は韓国が良いのか、日本が良いのか。
  • バイリンガルとして育てていくのかどうか。

上記のような悩みごとは、いずれお子さんの進路や将来を左右する重要な課題のため、無視することはできません。

あるいはアメリカやその他留学なども視野に入れる場合もあるそうですが、そうなると本当に進路の選択肢はどんどん広がっていきます。

お子さんの進路への悩みは尽きませんが、今回は「離島留学制度(日本)」に焦点を当ててみました!

離島留学制度(日本)を利用した方にお話をうかがいました

離島留学制度(日本)を利用した方の声

今年度(2022年度)離島留学制度(日本)を利用したお子さんについて、韓国在住のお母様、Aさんからお話を聞きました!

離島留学制度とは?

山村留学(さんそんりゅうがく)とは、都市部の小・中学生が長期間に渡って親元を離れ、自然豊かな農山村漁村で生活をすること。海岸地域や離島においては海浜留学離島留学と称していることもある。

ウィキペディア

◆今回お話をうかがったAさん夫婦によると、以下のように説明してくれました。

全国から、自分の住んでいる都道府県ではないところにある寮もしくは下宿生活をして公立高校に通う(ほとんどは僻地・島)制度です。

以前は、「落ちこぼれが行く、ひきこもりの生徒が人生やり直し的に行く」(もちろんそれはそれでいいとおもいます)という印象が離島留学にはあったそうです。

しかし最近では、生徒獲得のために高校間でも競争が生まれ、地域性を生かした個性的なプログラムや課外活動が年毎に充実してきており、わざわざ離島留学を選ぶ国内生徒も増えてきているそうです。

◆長崎県の「高校生の離島留学制度」によると、以下のように説明されています。

「自然に恵まれた環境の中で、特色あるコースで学習に取り組み、充実した高校生活を送ってもらうことを目的とした制度」

引用;高校生の離島留学制度 | 長崎県

以下、参考にして下さい。

①国土交通省のページ

出典;離島の学校に通いませんか? ~令和4年度離島留学生を募集しております

②地域みらい留学のページ

出典;地域みらい留学

③長崎県「高校生の離島留学制度」のページ出典;高校生の離島留学制度 | 長崎県

お子さんは現在、長崎県立対馬高校・国際文化交流科に進学しています。

長崎県立対馬高校は長崎県対馬市の南、厳原(いづはら)という地区にあります。

離島留学を考えた経緯について

離島留学を考えた経緯について教えて下さい

中三になる前から「離島留学」「地域みらい留学」に関しては先輩ママさんから聞いて知っていました。
それらの取り組みに共感し、いろいろなバックグラウンドを持った生徒らと三年間の共同生活をしながら、田舎でのびのびと過ごすのは我が子にとってもよいのではないかと考えました。

韓国の高校進学ではなく、日本への進学とした理由を教えて下さい

まずうちの子には韓国の小中学校卒業資格がありません。

それと早生まれで中学三年は韓国の中学二年生にあたり、卒検の試験を受けるためにも一年のブランクができます。

一年ブランクをあけて韓国の高校に入学する準備をするか、それとも日本の高校に進学するかを本人に聞きました。「そのまま卒業して日本の高校に進学したい」と希望しましたので、韓国の高校入試対策はしないことにしました。


私のまわりにいる親御さんは、受験に合わせて韓国から完全帰国するケースがほとんどです。一部は他の国の日本の高校の海外校もしくはインター、韓国国内のインター(高校部)にします。

私たちの場合は、両親の仕事の都合で日本に行けず、私の日本側の親類(親・兄弟等)のサポートも受けられない状況でした。

そうなると学生寮のあるところとなりますが、私立高校で寮という選択は経済的負担が非常に大きい為、公立をメインに受験校を選ぶことにしました。私立高校を併願するのが一般的だと思いますが、わたしたちの場合は「公立に受からなかったら韓国の高校進学を頭に入れる」そういう選択肢となりました。

数歳下の弟もいて、彼は「韓国に住みたい」、夫も「仕事を受験に合わせて動かすのは難しい」、私(母親)も(夫の仕事も含めて現時点での帰国が決まっておらず)「高校進学で日本に帰国する、というのは難しかった」からです。

本人にとっては選択幅がだいぶ制限されたわけですが、かといって日本全国から自分が行きたい高校を選ぶというのも大変なこと。そこで、私の主導で高校選びが始まりました。


韓国人の旦那様や義家族など周りの反応はどうでしたか?


義家族が子どもの進学について、なにか直接言ってきたことはありません。ただ「韓国の教育を受けて、受験や進学で苦労せずにすむベターな方法があれば越したことはない」という感じでした。なので小中学校は韓国の学校に行きませんでした。


本人は高校進学で日本に行きたがったので、それを叶えるにはどうすればいいかについては夫とは意見の相違がありました。相違というより何も知らない、調べられないので、母親の私が率先してやるべきところだから任せる(丸投げ 笑)というのが正直なところです。

高校進学までの流れ(受験準備)

長崎県立対馬高校について

この高校を選んだ理由について

実は、第一希望は、離島留学でも最も先進的な考えと外部からの支援と人材が積極的に投入されている島根県にある高校でした。そこを第一志望にしていましたが、残念な結果となりました。

合格発表のあとに受験ができる状況でしたので、しかるべき手続きを取り、第二希望だった対馬の高校を受けた次第です。

書類や手続きなど色々大変だったと思いますが、特にどのような場面で大変でしたか?

①郵送でのやり取り

受験票をもらうまでの外国から地方(しかも僻地)の高校への連絡、郵送でのやりとりが本当に大変でした。

これは国内の受験生の親御さんも同じなのですが、外国で、しかもコロナでEMSも遅延が当たり前の状況で、早め早めと準備をしてもなかなか書類が届かず焦りました。

学校の先生が熱心につなげてくださり、実際の書類は届いてなかったにもかかわらず、メールでPDFファイルを送受信して特別に「仮受付」にしてくれました。

そして面接。たった20分のためだけに、日本の面接会場に行かなければならない。このことが夫がどうしても納得がいかなかったようで(私立ではオンラインでのぞむところは多いと聞いています)、特別な配慮をなんとかしてもらえないかと島根県教育委員会とかけあうところまでになりました。

コロナで隔離期間も含めて、面接日よりも二週間以上早く日本に行かなければならないことがまずストレスでした。親族を頼るのは難しかったので、隔離先確保から始まりました。

しかも、2021年12月5日からルールがころころ変更された為、飛行機やホテルの予約もままならず。政府提供の宿泊施設の提供日数も不安定で、そこにPCR検査、陰性証明書の発行の手配もしなければならず、仕事をしながらこれらをこなしていくのが大変でした。心労も重なり、最終的には仕事(アルバイトですけれど)をやめて受験準備に集中することにしました。

②隔離期間;思春期中学生とのやり取り

それと、隔離期間中に同じ一つの部屋で何もしない(受験生は一応勉強)で、思春期中学生と暮らすのは本当に大変でした。勉強を自発的にとにかくしない。

それで取っ組み合いのけんかにもなりました。外にも出られない時期もあったのでストレスをお互いに溜め込みました。

そして合格発表から入学式までの間、日本では中三で学校に一応行っている時期ですが、2ヶ月間のために福岡の学校に通わせるわけにもいきません。外に追い出したり、ドアを蹴られたり、借りている部屋なのにドアに投げた携帯が当たって穴が開いて数万円弁償したりと恨み・つらみしか出てきません(笑)

しかし、いざ寮に戻っていった我が子の背中を見た時に、もう二度とこのような親子の時間はないのだなと思ったら、美しい思い出になりつつあるのですから人間とは単純なものです(笑)

長崎県立対馬高校に入学してから

入学して既に2か月が過ぎましたが、いかがですか?

今の学校は韓国語を専門的に勉強するところですから、すでに上級(というかネイティブですから)の本人にとっては不満は大きいと思います。第一希望でもないわけですし…「ソウルから来た」ということで先生らが特別視することも面倒がっています。

女子が90パーセント、男子は数名というクラスの環境、そしてその他クラスは対馬島内生、いろいろな問題があると思いますが、いろいろ聞かれて教えてあげたりしながら、本人もその役割で自分の場所を見出してきているようです。

ちなみに、都会からK-POPや韓国の文化に憧れて入学してきた女子生徒の中には、適応がうまくできずに辛そうにしているという話を子どもから聞いています。特に下宿生活の子は大変みたいですね。

けれども、自分の意思でやってきた(うちの子はちょっとあれですが)子たちに囲まれ、交流し、同じ目的に向かっていくことから得るものは限りなく大きいと思います。

高校のプログラムについて
こちらの学校は韓国の大学への推薦入学枠をいくつか持っておりまして、内申と韓国語能力試験でいい点を出せば延世、釜山外大、釜慶大学などに行くことができます。他の大学も相談次第で行きやすくはなると思います。

※ただ、二重国籍でいると推薦資格がない大学もありますので、調べる必要があります。

もちろん日本国内の大学進学や就職は本人次第ですが、韓国語を高校で専門的に勉強していたというのは有利に働くみたいです。対馬高校には独自のプログラムとして、13泊14日の韓国研修旅行もあります。コロナが落ち着いて、韓国語に興味のあるみんなと韓国に来ることができればいいなと個人的には思っています。

受験を検討する方へ・詳細情報

ここまで読んで頂いて少し興味を持った方、あるいは前々からすでに検討していて今回改めて決意される方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方々へより具体的な詳細情報をご案内します。

①令和4年度第1回体験入学&宿泊体験 案内

出典;離島留学実施校体験入学

本年度(令和4年度)の体験入学&宿泊体験の日程が決定しています。

対馬高校:8月26日(金)・27日(土)

体験入学に関しては滞在・体験費用を長崎県が負担してくれ、飛行機の場合は交通費補助があるそうです。

②入学後分かった学校の雰囲気や学校生活について

日本の高校とは言え、地域独特の習慣もあります。また、学校内の雰囲気は入ってからではないと分からないところもあります。

以下、お子さんの入学後、Aさんが初めて分かったことや感じたことなど4点をあげてみました。

  1. 朝課外(※1)で7時半には学校、それと土曜の補習などもあって結構大変
  2. 寮でのスマホの管理は思ったより甘かったので自己管理ができているか心配
  3. 学校からのお知らせが紙ベースで国文も生徒渡しで情報の共有が遅れる
  4. やはりティアラ(※2)が学生の溜まり場(モスがあってよかった)

※1…九州地方の高校で始業前に行われている補習授業のこと。始業時間の1時間ほど前から実施される。九州独特の慣習とも言われる。教員や生徒・保護者の負担も大きく最近は「朝課外」を廃止する動きも。

※2…厳原中心地市街地いづはらショッピングセンター

③対馬自治体関連・お得情報

また、Aさんから聞いた対馬自治体関連のお得情報を最後にまとめておきます!

  • 国境離島島民割引カードが対馬市から発行される/対馬市を起点又は終点とする定期航路(対馬〜長崎、対馬〜福岡)の交通費の割引あり
  • 学生の帰省(夏休みと冬休み)で本土以降の交通費の補助2万円までの支援あり

  (韓国もオッケーとのことでした)

  • 令和5年2月末まで対馬市のフリープランが大変お得です

  出典;https://www.nagasaki-tabinet.com/islands

7000円分クーポンと体験クーポン、飛行機往復と宿泊1泊で15000円からの旅行商品がすばらしいと思います(※福岡発)。

Aさんによると「対馬に行く機会はあまりないと思います。非常に充実した自治体支援があるので、ご興味のある方にはおすすめしたいです」とのことです!

おわりに

いかがでしたか?

リアルな受験・高校生活について、親御さんからの話をうかがえたことは、これからを考える韓国在住のお母様方には大いに参考になると思います。

筆者の子どもはまだ小学生ですが、常日頃、韓国の教育環境を目の当たりにしながら子どもの将来についてあれこれ考えることが多くあります。

今回、貴重なお話を聞けて非常に良かったです。

皆様のお子さんの進路を考える中で何かしらのお役に立てれば幸いです。

ライター(enju)

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